お知らせ
椿
菓子百花 菓子『まり遊び』玉島高校 田中もえさん 器『憶跡』岡山県立大学 藤原秀馬さんの作品(№8)
2021/11/11
活動レポート

№8 『まり遊び』良寛さまの竹の漢詩は、№1では「宅辺有苦竹」で始まる初めの二区を紹介しましたが、最後の二句は『棹直節弥高 心虚根愈堅 愛爾貞清質 千秋希莫遷』で、幹は真直ぐ 節操は益々高く 心は虚しく雑念なく 根底は堅い なんじ(爾)の清潔で操正しさを愛する どうか永遠に本質を変えないでほしい と詠われている。また、№3で紹介した句「涼しさを 忘れまいぞや 今年竹」にも、竹の素直・高潔・虚心をずっと忘れないでと願っておられる。更に『呉竹の 直き姿は 偽りの 多かる世にも 障らざりけり』とあり、竹に生きざまを学ばれたようです。

一方、まり遊びでは、『霞立つ 永き春日に 子どもらと てまりつきつつ この日暮らしつ』の歌は、川端康成ノーベル文学賞受賞記念講演で読まれ、良寛さまが世界に発信されました。

一方、良寛さまがてまり遊びをされたのは、子どもたちに”今だけでも楽しい想い出”をと考えられたからでもあります。当時の特に女の子たちは、時が来ると飯盛女として宿場に行かざるを得ない悲惨な時代だったからです。この作品には、”楽しい想いで作り”と”こんな世でも竹のように生きてほしい”との強い願いが込められている気がします。

『憶跡』砂利をイメージしたお皿の凹凸には不安定さが、また釉薬の質感や螺旋状の模様にはその時代の背景が見えます。すなわち、当時の不安定で貧しい悲惨な農村社会だと想像されますがどうなんでしょうか。

良寛椿の会 会員 早川正弘