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椿
こころ満ちてくる読書  米子市久米町 大原啓道
2023/04/27
広げよう応援の輪

「聖良寛と玉島」を読んだ。森脇正之氏の著書だ。平成元年に、倉敷文庫刊行会の1冊として出版されている。
私は、かなり前に買っていた。しかし、何十冊の良寛さんについての本と一緒に、机の上に、ただ並んでいた。つまり、読んでいなかった。
それを読むきっかけは、良寛さんの円通寺での修行や、国仙和尚との出会いは、どんなものだったかを、最近、知りたくなったからだ。ある朝、森分氏の本が目に留まった。
この本は、各章が、良寛さんの漢詩、和歌、長歌の引用から始まっていた。漢詩などは、その訳文に助けられながら、ゆっくり読んでいった。
良寛さんの父や、生母、育った庄屋という家系や環境、友人との交遊。出雲崎での座禅、そして、運命的な国仙和尚との出会い、やがて、出家し、和尚の寺、円通寺への随行と、そこでの修業の年月。
読み進むうちに、良寛さんの一生の像が、私の脳裏に、自ずと浮かんで来た。それと同時に、心に満ちてくるものを、感じながら読んでいった。
森分氏は、次の言葉を書いていられる。

「聖僧良寛も、多くの人々にはぐくまれ、多くの人をはぐくんだ生涯であった。本書も、そういう観点に立って、良寛の生涯のともしびとなった人々、良寛をともしびと仰いだ人々を軸とした良寛の伝記である。」

 

読み終えての感想は、再読したい本だと思った。良寛さんを知る導きとなる著書である。一読を進める。