「月へ続く道」:月ははるか昔から特に日本人に愛され、数多くの昔話等に登場します。その月への道はどんな道なんでしょう。月に関わる良寛さまの俳句「盗人に取り残されし窓の月」「名月や庭の芭蕉と背比べ」、長歌「月の兎」(省略)、短歌「月影の清きゆふべに梅の花折りてかざさむ清きゆふべに」「月よみの光を待ちて帰りませ山路は栗の毬(イガ)のしげきに」です。その情愛が伝わります。
月にまつわる風習で、今もススキと団子を飾り中秋の名月を楽しみ酒を飲み、とにかく月を愛でることは当たり前です。また、餅つき兎の伝承や「月の兎」は仏様へのもてなしに自ら炎に飛び込んだ兎を哀れみ、仏様が月にあげた説話があります。更に、月の住人のかぐや姫は、罪を犯して穢れた地上に下ろされたと云います。月が地上より清らかな処と考えられたようです。清い月へ続く道を探し求めたいものです。「曇りなき心の月を先だてて浮世の闇を照らしてぞ行く」は、政宗の辞世句です。
「杯皿」(さかずきざら):晩年の逸話「良寛さまの月見」があります。島崎の桑原祐雪(医師)は、毎年中秋の名月時に、花瓶に尾花・燭台に蝋燭・供物に重箱を用意し良寛さまを迎えた。月の出が待てず自筆の「指月楼」を前に食べ始め、月が出るとお酒を召し上がる。旅中に詠まれた「中秋賞月」を吟じられ、涙ぐまれたそうです。その漢詩は「今夜月色白 烏鵲驚叫滋 声悲思郷国 不知何処依」です。
(「晩年の良寛」からの引用です) 良寛椿の会 会員 早川正弘