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椿
世阿弥の「まことの花」(二)洋画家 木村秀夫 東京都あきる野市在住
2023/03/05
広げよう応援の輪

「さらば、時分の花をまことの花と知る心が真実の花になお遠ざかる心なり。ただ人ごとに、この時分の花に迷いてやがて花を失するをも知らず。初心と申すはこのことの事なり。」

世阿弥『風姿花伝』より

 

世阿弥の「時分の花」は若い生命が持つ鮮やかな魅力的な花や人気絶頂期に華やかで眼を引く華、それは一過性のもので「真実の花」ではない、現状におごり慢心し努力を怠ればいずれ消えゆくものです。
「まことの花」は時分という生命が円熟してやがて老いて枯れようとしてもそこにひそかに咲き続ける「幽玄」の花こそ自分という人間の芸術作品を完成させる本質的な「まことの花」なのです。
数々の苦難や試練を乗り越えて生きてきたからこそ人生最後に咲かせる世阿弥の「まことの花」を咲かせ、初心(この先経験した事のない様々な事態に対する心構え)や覚悟を持って老いを楽しみ、老いの美学を追求し続けて行きたいと思います。 木村秀夫