1席 まだ会へぬ良寛椿思ひつつ五合庵に見るくれなゐの花
立花 純子(新潟県新潟市)
2席 さびいろに変りながらも落ち椿矜持のごとく姿保てり
大武 千鶴子(岡山県真庭市)
托鉢の僧も歩きし街並みを辿りて暑き瀬戸の夕凪
則安 資子(岡山県岡山市)
3席 斑雪荒地は草を立ち上げて溜めこみし冬吐き出しており
中屋敷 歩(北海道函館市)
日だまりに立てば哀しも恙なき母と歩みし小春日ありき
古屋野 久子(岡山市北区)
童らの寄り添ふ笑顔の良寛像手まり持つ手は日にぬくもりて
貞安 節子(倉敷市水江)
坂東真理子賞
円通寺良寛椿見んがため今年も杖に縋りて詣づ
原 比呂子 (男性)( 大分県国東市)
特別賞
愛知県立豊田西高等学校
布団から出られぬ僕と起こす母両者が思う良寛ならと
濱中 嶺
寒いねと笑ったその息白くなり手もかじかんで咲く寒椿
安保 結芽乃
岡山県立玉島商業高等学校
白玉の可愛い椿ポツポツと弱弱しくも凛としている
片山 萌香
部活動かけ声とともに全力で走る階段もみじがゆれる
荒木 陽太
倉敷市立玉島西中学校
会っていない友達からの年賀状覚えてくれて安心したよ
藤田 朋華
祖母が作るご飯求めて里帰り口に広がるなつかしい味
倉橋 果住
第1回短歌募集の総評
龍短歌会 下村とし
この度は、 玉島の地から良寛様にまつわる短歌を全国に募集しましたところ、県内は元より北は北海道から、また他県の大勢の学生さんからと四百二十四首もの応募がありました。大変あり難うございました。
なにぶん、全国各地からの作品でしたから良寛様を様々な角度から読んでおられたり、玉島の地、
円通寺、良寛椿とまだ見ぬ地への思いを馳せておられたりする短歌がほとんどでした。歌は違っても、それぞれの歌には良寛様のお人柄、それに繋がる椿の凛とした美しさが等しく詠まれていました。また、自由題の短歌にも、素直で優しい思いが多く詠まれており、選歌に際し、なかなか優劣が付け難かったのが実情です。
初めての企画にも関わらず、良寛様にお心を寄せて下さる方々に接し、次回からは募集の仕方をさらに検討し、より良い短歌募集となるよう考えて参りたいと思います。次回もまた多くの方のお歌を拝見できることを祈念しております。
選者 下村とし先生の紹介
昭和二十七年龍短歌会に入会
昭和五十九年玉島龍短歌会発足に尽力
日本歌人クラブ会員
岡山県歌人会 運営委員 選者
龍短歌会 運営委員 歌の添削担当者
岡山県良寛会会員
令和二年倉敷市文化連盟賞受賞
歌集 『華林』『丹の花』『月華抄』
『白華ふるさと』
特別賞 坂東真理子先生の紹介
昭和女子大学学長 理事長 総長
東京大学卒業後総理府入省庁 内閣広報室
参事官 内閣府初代共同参画局長を
経て二0一六年から現職
著書「女性の品格」「七十愛のたしなみ」
短歌に造詣が深い
御礼
円通寺覚樹庵跡に咲く白玉椿は、良寛禅師顕彰のシンボルです。多くの方々にこの良寛椿のことを知っていただきたく、良寛さまと椿をテーマに短歌を募集いたしました。
全国津々浦々より四百二十四首のご応募がありました。若い世代の作品が半数近くを占めております。これは思わぬ結果であり、大変感激いたしました。
近隣の方は、良寛椿を訪ねてみた心緒を詠み、遠方の方は、いちど訪ねてみたいとの思いを歌に託してくださいました。
良寛さまを通じてたくさんの方々と交流できましたこと、心より感謝申し上げます。
次回は、俳句も加えて企画しております。引き続きご応募を頂ければ幸いです。
良寛椿の会 代表 安藤瑞子