円通寺吟行 №7
2022/10/05
広げよう応援の輪
深秋や時のしみ出る石仏
秋も深まった9月末、円通寺に参拝した。境内には沢山の石仏がある。
それらをしんみりと拝観するのは楽しみだ。最も新しい石仏は、令和3年
1月18日境内の南側に、天を衝くような白い観世音菩薩立像(4,6メートル)
と弥勒菩薩坐像(2,4メートル)が新型コロナの終息などを願い建立された。
境内西側の三十三観音霊場を巡れば、沢山の石仏が拝観できる。
今回は、特に秋の季節に拝観したかった石仏がある。良寛堂の左側を踏み石
伝いに少し入ると、左手の大岩を背にその石仏がある。分厚く平たい小さな
自然石に刻まれた観音菩薩坐像で高さは60センチ程。苔むした中に安置されて
いて、つい見逃してしまう場所である。そのたたずまいに経過した歳月の長さを
感じて、しばし深秋のの感傷にひたる。紅葉且つ散る季節にはいっそうその感が
深くなる。この観音菩薩像は数年前に良寛堂の裏手にある夏椿を見に行った時に
初めて出会った。深秋にふさわしい石仏である。
令和4年9月 安福利平